はじめに - 50歳という節目
2026年、私は50歳になる。人生の半世紀、エンジニアとして駆け抜けてきた道のりを振り返ると、常に「小さいところを次のフェーズへ」という挑戦を繰り返してきたことに気づく。
新卒・未経験からシステム開発部を立ち上げ、自ら起業して代表権を持つCTOとなり、VPoEとして未上場企業を上場まで牽引し、新規事業立ち上げ組織へCTOとして参画し、さらにその中で新規事業の開発組織リーダーを務めた。組織が大きくなれば離れ、また新たな小さな場所で立ち上げを行う。それが私のエンジニア人生だった。
50歳という節目を迎えた今、これからのエンジニア人生をどう歩むのか。その答えが見えてきた。
「人生50年」が意味すること
「人生50年」という言葉がある。織田信長の 「敦盛」 で有名なフレーズだが、この言葉には深い意味がある。当時の平均寿命の話ではなく、むしろ 「なすべきことを成し終え、天寿をまっとうする年齢」 という精神的な区切りを意味していたという。
現代では医療の進歩により、人生はもっと長く続く。しかし、50歳という年齢が 「一つの区切り」 であることに変わりはない。これまでやるべきことをやってきた、という自負がある。だからこそ、ここから先は別の生き方ができるのではないか。
やるべきことはやってきた
エンジニアとしてのキャリアを振り返ると、やるべきことは十分にやってきたと胸を張れる。
組織の立ち上げ、技術選定、チームビルディング、採用、マネジメント、経営層との対話、事業戦略への技術的貢献。CTO、VPoE、開発組織リーダーとして、様々な責務を果たしてきた。常に 「組織を次のフェーズへ」 という使命感を持ち、それを実現してきた。
もちろん失敗もあったし、もっとうまくやれたことも多い。でも、全力でぶつかり、考え抜き、実行してきた。その過程で多くを学び、成長できた。
そして今、ふと思う。もう十分ではないか、と。
これからは「わがままに好きなことを」
50歳を迎えるにあたって、一つの決意をした。
これからは、わがままに好きなことをやる。
もちろん、社会的責任や倫理から逸脱するわけではない。でも、「組織のため」「事業のため」という義務から少し距離を置き、「自分がやりたいこと」「純粋に面白いと思えること」にフォーカスしたい。
これまでのキャリアでは、組織や事業の成長が第一優先だった。そのために最適な技術選定をし、最適なチーム構成を考え、最適な意思決定をしてきた。それはそれで充実していたし、誇りに思っている。
でも、これからは違う。純粋に 「これが面白い」 「これを作りたい」 という情熱に従って生きたい。エンジニアとして、もう一度原点に戻るのだ。
根っからのエンジニア - 物作りへの情熱
私は工学系機械科の出身で、元々物作りやDIYが好きだった。自作PCを組み立てたことがきっかけでプログラミングの世界に入った。
自分で考えたものを作る喜び、動かした時の感動。 それが私の原動力だった。
コードを書き、システムを設計し、それが実際に動作する瞬間のワクワク感。この感覚は、何年エンジニアをやっていても色褪せない。むしろ、経験を積むほどに、できることが増え、作れるものの幅が広がり、その喜びは深まっている。
私は根っからのエンジニアだ。職人気質というか、自分の手で何かを作り上げることに最大の喜びを感じる。だからこそ、これからも 「作ること」 を中心に据えた生き方をしたい。
「技術顧問」にはなりたくない
エンジニアとして年齢を重ねると、よく 「技術顧問」 というキャリアパスが提示される。現場からは一歩引いて、若いエンジニアを指導したり、技術的な意思決定にアドバイスをしたりする役割だ。
でも、正直に言うと、私はそういう形で晩年のエンジニア人生・社会人人生を締めくくりたくない。
エンジニアは職人だと思っている。 指導する側になっても、最後まで自ら手を動かしてこそ、本物のエンジニアだと信じている。
もちろん、知識や経験を後進に伝えることは大切だし、それ自体は価値のあることだ。でも、それが 「メイン」 になってしまうのは、私の性に合わない。コードを書かず、システムを作らず、ただアドバイスだけをする人間にはなりたくない。
最後まで現場で手を動かし、新しい技術に挑戦し、何かを作り続けるエンジニアでありたい。それが私の矜持だ。
AIを使い尽くす - 新しい挑戦
これからの時代、AI は避けて通れないテーマだ。そして、私にとってAIは非常にエキサイティングな存在だ。
元々、DIYを通じて 「部分的な自分の分身」 を作ることに興味があった。bot や自動化への関心もそこから来ている。自分の代わりに何かをやってくれる、あるいは自分の能力を拡張してくれる存在を作りたかった。
AI の進化により、それが格段にやりやすくなった。やりたいことを深く追求できる時代が来た。AI を活用すれば、作業を数倍〜十数倍にレバレッジできる。一人で出来ることの範囲が劇的に広がる。
これは、まさに私がやりたかったことだ。
AIを使い尽くし、自分一人でも大きな価値を生み出せるようになりたい。組織やチームに依存せず、純粋に自分のアイデアと技術力で勝負できる環境を作りたい。
それが、50歳からの新しい挑戦だ。
技術者としての成長へのフォーカス
これからは、 「技術者としての成長」 に改めてフォーカスしたい。
マネジメントや事業戦略も大切だが、それらは一旦脇に置く。純粋に 「エンジニアとして強くなること」 に時間とエネルギーを注ぎたい。
新しいプログラミング言語を学び、新しいフレームワークを試し、新しいアーキテクチャに挑戦する。AI や機械学習の技術を深く理解し、実際に使いこなせるようになる。単なる知識としてではなく、実際に手を動かして体得する。
好きなことを、好きなだけ、好きなように。
義務ではなく、情熱のために。誰かに求められるからではなく、自分がやりたいから。
それが、これからの私のエンジニア人生だ。
おわりに
50歳という節目は、終わりではなく新しい始まりだ。
これまでのキャリアで培った経験と知識を土台に、これからは純粋に 「好きなこと」 を追求する。組織の成長や事業の成功という責務から解放され、エンジニアとしての原点に立ち返る。
手を動かし続ける。作り続ける。学び続ける。
それが、私が選ぶ 50歳からのエンジニア人生だ。わがままかもしれないが、それでいい。やるべきことはやってきたのだから。
2026年、新しい挑戦が始まる。